Sannkai三回 · THE THIRD VISIT
日本語2026-07-02

台北の「ただの公園」じゃなかった——地元民が歩く6つの山道、それぞれの隠れた時間層

台北市内で気軽に歩ける6つの山道。見た目は普通の公園ハイキングだが、それぞれに日本統治時代の水道工事路、廃坑、6000年の遺跡層、廃墟となった軍事歩哨など、大半の人が素通りしてしまう歴史の断面が隠されている。

台北の「ただの公園」じゃなかった——地元民が歩く6つの山道、それぞれの隠れた時間層

台北の人が「山に行ってくる」と言うとき、たいていの意味はこうだ——MRTを降りて、徒歩10〜20分で登山口に着いて、午後には帰ってくる。本格的な登山ではなく、「坂のある散歩」くらいの感覚。

今回紹介する6コースはどれもそのタイプ。台北市内、ほとんどがMRTアクセス可能、最長でも往復2時間以内。見た目は普通の市民公園の延長みたいなハイキングコースだが、それぞれに「あ、そういう場所だったのか」と思わせる何かが隠れている。


虎山渓谷コース——台北101のすぐ近くに廃坑がある

信義区、MRT象山(シャンシャン)駅から徒歩10〜15分/1周1.5〜2時間

象山(シャンシャン)に来る観光客のほとんどは東側の展望台に向かう。台北101を正面に見て写真を撮る、あのスポット。虎山(フーシャン)は象山の北隣にあたる山で、特定の撮影スポットがあるわけではないが、人はずっと少ない。

虎山渓コースは渓谷沿いを歩く。半日陰で、シダ類が豊富、ところどころ小川を渡る石橋がある。4〜5月の春には蛍が出る(黄縁蛍、黒翅蛍)。信義区の住民が「春になったら虎山」と言うくらい、定番の季節コースになっている。

虎山峰の展望台まで上がると、信義区のスカイラインが正面に広がる。台北101、南山広場(ナンシャングァンチャン)、周囲の高層ビル群——虎山はそこまで高くないので、展望台から見る信義区は「見下ろす」というより「街の縁に立って中を覗き込む」感じ。高層ビルの展望台から見るのとは角度がまったく違う。

展望台から瑤池宮の方向に少し歩くと、廃坑の入口がある。清朝の光緒年間にはすでに採掘記録があり、大正12年(1923年)に正式登録で採掘が始まった。最盛期は500人以上の労働者が働き、「松山炭(ソンシャンタン)」というブランド名で台湾全土に流通していた炭鉱だ。民国80年(1991年)に閉山。坑道の入口は今もコース脇に残っていて、解説板もある——ただし小さいので、気をつけないと見過ごす。

台北101まで歩いて15分の場所に、1991年まで稼働していた炭鉱がある。この事実を知ってから歩くと、信義区の見え方が少し変わる。

  • 登山口:MRT象山駅、松仁路方向へ徒歩。Googleマップで「虎山登山口」検索推奨
  • 所要時間:1周(虎山峰含む)1.5〜2時間
  • 営業時間:終日開放

富陽自然生態公園——50年間、軍が使っていたせいで森が残った

大安区、MRTリングァン(麟光)駅から徒歩5分/1周40〜60分

台北の大安区(ダーアンチュー)は開発密度が高いエリアで、マンションや商業ビルが密集している。富陽(フーヤン)街のこの土地が今も森のまま残っているのは、50年近く軍が使用していたからだ。

日本統治時代末期から軍事用地として使われ、戦後は国軍の弾薬庫として管理された。1988年に弾薬が撤去され、2006年にようやく一般開放。

軍による管理の「副作用」として、この森はほとんど手を加えられないまま数十年が経過した。周囲の大安区が次々と開発される中、ここの植物は勝手に育ち続け、台北市内ではめずらしい樹冠の高い鬱蒼とした森になった。夏に入ると、外より体感温度が明らかに低い。

コース沿いに残っている軍事遺構:トーチカ7〜8基、坑道の入口、歩哨所、軍事界標、そして石段には当時の兵士が手で刻んだ文字がある。展示のために置かれたわけでなく、ただそこにある。解説板がないものも多い。

  • 住所:台北市大安区富陽街(MRTリングァン駅から徒歩5分)
  • 所要時間:1周40〜60分
  • 営業時間:終日開放、入場無料

芝山岩——6000年分、7層の文化が重なった丘

士林区、MRTチーシャン(芝山)駅から徒歩15分/環状コース1〜1.5時間

芝山岩(チーシャンイェン)は一見、ただの台北郊外の小さな丘だ。標高51メートル、10ヘクタール。朝は太極拳をする人や犬の散歩の人がいて、頂上には惠濟宮(フイジーゴン)という廟がある。

でもこの山、少し違う。木がとにかく古くて、2〜3人で囲まないと届かないほど太いクスノキが何本もある。コース脇には独特の砂岩の巨石群があり、「四大金剛(スーダージングァン)」と呼ばれている。台北市内のハイキングコースではあまり見ない光景だ。

そして地面の下に、台湾の考古学史上で最重要な遺跡がある。

この土地には6000年間で7つの異なる文化層が積み重なっている。一番下の層は6000年前の人々が残した貝塚——海鮮を食べた後の貝殻が今も地中に眠っている。中間のある層は「芝山岩文化」と呼ばれていて、この山で初めて発見されたためこの名がついた。一番上が清代の漢人の層で、漳泉械鬥(漳州・泉州系移民間の武力抗争)の石碑、廟、石段——歩けば今も見える。台湾で最初に正式記録された史前遺跡が芝山岩で、1896年のことだ。同じ場所に7層が重なっている場所は、台湾全土でここだけ。

山には各時代の遺構が残っている。百二崁(バイアーカン)歩道の120段の石段は、もともと日本統治時代に芝山岩神社への参道として整備されたもの。神社はもうないが、石段は残っていて、今は住民が毎朝上り下りしている。

  • 住所:台北市士林区福国路付近(MRTチーシャン駅から徒歩約15分、またはバス「芝山岩站」下車)
  • 所要時間:環状コース1周1〜1.5時間
  • 営業時間:終日開放

天母古道——日本の水道工事が残した石段を歩く

士林区天母、MRT直通なし/片道1.5〜2時間

天母(ティエンムー)という地名は台湾では「米軍時代」の象徴として認識されている。1950〜70年代、米軍が台湾に駐留していた頃、顧問やその家族が天母に住み、インターナショナルスクール、ステーキハウス、洋風の雰囲気を持ち込んだ。中山北路七段あたりには今もその名残がある。

天母古道を歩くと、石段が整然としていて「整備されたコース」という雰囲気がある。「米軍が山の上の施設と山麓の宿舎をつなぐために作ったのでは」と思う人が多い。

ところが、この石段は1932年に敷かれたもので、米軍より20年近く前だ。

この道の本来の用途は、草山水道システムの工事・点検用路だった。日本の技術者が陽明山から水を引く給水システムを設計・建設し(設計1927年、完成1932年)、石段は配管沿いを点検・補修する作業員が歩くために作られたものだ。歩いていたのは工事関係者であって、ハイキング客ではなかった。

コース沿いには今も黒い大きなパイプが残っていて、山の壁に沿って植生の中に見え隠れしている。沢の音も近い。夏は木陰が多く、陽明山の多くのコースより涼しく歩ける。石段約1300段、天母商圏から文化大学付近まで。

  • 登山口:天母商圏付近、Googleマップで「天母古道登山口」検索推奨(複数の入口あり)
  • 所要時間:片道1.5〜2時間
  • 交通:MRT直通なし、バスで天母商圏へ

劍潭山 老地方展望台——廃歩哨のそばで、飛行機が頭上をかすめる

士林区、MRT劍潭(ジェンタン)駅から徒歩10分で登山口/往復約2時間

登山口から上がり始めると、最初は密林で視界がほとんどない。木陰の中をしばらく歩くと、廃歩哨の建物がコース脇に現れる。解説板はない。ただそこにある。

「老地方(ラオディーファン)」展望台まで登ると、視界が一気に開ける。

ここから見えるもの:松山空港(ソンシャン)の滑走路、基隆河(ジーロンホー)の曲がり目、台北101、遠方の観音山。特筆すべきは松山空港の視点だ。空港は台北市内にあり、飛行機の離着陸がとても近い。「遠くに小さい点が動いている」ではなく、「エンジン音が聞こえて、機体が視野の真正面を横切っていく」。15〜20分おきに便がある。連続して離着陸が重なると、展望台でかなり長い時間立ち続けることになる。

2023年にコース中段に「微風展望台(ウェイフォン展望台)」と「北眼台(白い球体デザイン)」が新設された。30分歩けば着くので体力に不安がある人のオプションになる。老地方は60分。

  • 登山口:MRT劍潭駅から徒歩約10分。Googleマップで「劍潭山老地方觀機平台」検索推奨
  • 所要時間:往復約2時間(登山口から老地方まで片道60分)
  • 営業時間:終日開放

景美仙跡岩——144メートルの山頂で、台北101が自分より高い

文山区、MRT景美(ジンメイ)駅から徒歩約10分/山頂まで15分、周回約1時間

景美山(ジンメイシャン)、別名「仙跡岩(シェンジーイェン)」は、文山区(ウェンシャンチュー)の住民の日常コースだ。標高144メートル。メイン登山口(景興街241号脇の石門)から15分歩けば山頂で、特別な体力は要らない。4〜5月は油桐の白い花びらが石段に散って、春の定番の景色になる。

山頂に大きな岩があり、明確なくぼみがある。地元の廟によれば、これは呂洞賓(リュードンビン)——八仙の一人——の足跡だという。伝説には2つのバージョンがある。「何仙姑を追いかけて天界から落とされ、最初に公館の蟾蜍山(センチューシャン)に着地したが気に入らず、一歩踏み出して景美山に移ってきた跡」という説と、「劉海仙翁(リウハイシェンウォン)が蟾蜍の妖怪を法力で制した時の痕跡」という説。どちらにしても、山の上に仙人の足跡がある、ということになっている。

ここの面白い景観は、高さにある。標高144メートルの山頂で、台北101は視界の中で自分が立っている場所より高い。「山の上から街を見下ろす」感覚ではなく、「街の中に立っていて、たまたま小さな出っ張りの上に乗っている」感覚。台北101を遠くから見た写真をたくさん見てきた人でも、この角度は違う。

登山口は14か所あり、文山区に滞在している場合は自分の宿に近い入口から入れる。

  • メイン登山口:台北市文山区景興街241号脇(MRT景美駅から徒歩約10分)
  • 所要時間:山頂まで15分、周回約1時間
  • 営業時間:終日開放

参考資料

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