Sannkai三回 · THE THIRD VISIT
日本語2026-06-27

鹿港の地元民は老街に行かない。彼らが毎朝通う「第一市場」へ

観光客が老街を歩く時間、鹿港の地元民はとっくに第一市場で朝食を済ませている。6時半から動き始めるこの市場が、本当の鹿港を映し出している。

鹿港の地元民は老街に行かない。彼らが毎朝通う「第一市場」へ

鹿港(ルーガン)に行ったとき、どこを歩きましたか?

おそらく龍山寺(ロンシャンスー)を見て、老街のアーケードを歩いて、鳳眼糕(フォンイェンガオ)を買って帰ったんじゃないかと思う。それはそれで正解なんだけど、鹿港の人たちがほとんど行かない場所でもあります。

地元の人に「週末、どこに行くんですか?」と聞くと、だいたい「市場かな」という答えが返ってきます。老街じゃない。第一市場——民族路(ミンズーロー)周辺に広がる、地元民の日常の台所のことです。

第一市場と、鹿港の「本当の朝」

台湾で寺院の密度が一番高いのが鹿港、という話はよく聞きます。でもその話と同じくらい面白いのが、この町の朝の動き方です。

観光客が老街にたどり着く頃(10時、11時)、鹿港の人たちはすでに市場でのひと仕事を終えています。朝6時から人が動き始め、7時過ぎには人気店の前に列ができます。日本の商店街がシャッターを開ける時間に、こっちではもう朝食の一軒目が終わっている——そんな感覚の町です。

第一市場は民族路を中心に、いくつかの路地が複雑に交差するエリア。屋根付きのアーケード、常温で積まれた野菜、薄暗いなかでもしっかり商売している小さな食堂——観光地の写真とは全然ちがう、生活の匂いがある場所です。

朝6時半から並ぶ——粉圓伯(フェンユエンポー)

第一市場に来るなら、まずここから始めるといいです。

粉圓伯は毎朝6時半に開店します。売っているのは自家製のタピオカ(粉圓)だけ。黒糖シロップと一緒に食べるシンプルなものなんだけど、地元の常連客でにぎわっています。

観光客の姿はほぼ見かけません。並んでいるのは近所のおじさんおばさん、市場で働く人たち。お昼前には売り切れます。鹿港の人がなぜここにこだわるか——一口食べるとわかります。市販のタピオカとは違い、ツルツルとした食感にぷりっとした弾力があり、かみしめるたびにほんのりとした甘みが広がります。

混んでいる時間帯でも回転は速いです。価格は台湾ドル35~45元ほど(日本円換算で150~190円)。現金のみです。9時を過ぎると売り切れていることも多いので、早めに行くのが鉄則です。

市場の奥へ——蚯蚓龍山麵線糊(ジューイン ロンシャン ミエンシエンフー)

民族路193番地にある蚯蚓龍山麵線糊は、朝5時半に開く麵線糊の老舗です。メニューは麵線糊一本のみ、百年以上続く兄弟の店。三民市場(サンミンシジョウ)エリアに位置し、近くにくれば店先から湯気が見えます。

麵線糊は台湾中南部でよく食べられる朝食で、細い素麺をとろみのあるスープで煮たもの。日本の「あんかけそうめん」に近いイメージだけど、香りがまったくちがいます。具材は豚の内臓や牡蠣が入ることが多いです。

席についたら「麵線糊(ミエンシエンフー)」と言うだけで通じます。写真メニューがある店も多いので、指差しでもOK。混んでいても店の人は慣れていて、笑顔で対応してくれます。パクチーが苦手なら「不要香菜(bú yào xiāngcài)」と一言添えれば後乗せをスキップしてもらえます。価格は台湾ドル40〜60元(約175〜260円)。

民族路をさらに歩く

第一市場のエリアを歩くと、老街とはまったく違う光景があります。

阿婆当帰鴨(アポー タングイヤー)は民族路109番地にある漢方スープの老舗。鹿港の人が子供の頃から食べてきた店で、地元民のSNSには「幼稚園の帰り道に寄ってた」というコメントが並びます。当帰(ダングイ)の香りが効いた鴨スープで、薬膳といっても構えて食べるものじゃありません。鹿港では普通の昼食として扱われている一品です。

素珠芋丸(スーズー ユーワン)も外せません。民生路68番地の百年近い老舗で、里芋を薄くスライスして豚肉を包んだ伝統料理。材料の組み合わせだけ聞くと地味だけど、ひとつひとつ手作りで、その食感は独特です。里芋の外皮がもちっとしていて、中の豚肉との対比がある。鹿港の食文化をひと口で体験するならこれです。

午後に戻るなら——金龍木瓜牛奶(ジンロン ムーグア ニューナイ)

鹿港に泊まる、あるいは午後まで滞在するなら帰り道に寄ってみたいのがここです。

金龍木瓜牛奶は第一市場内(大明路9番地)にあるパパイヤミルクの店で、開店は午後3時過ぎ。注文を受けてから生のパパイヤをミキサーにかける、「現打(シエンダー)」スタイルです。

鹿港での食べ方がちょっとおもしろくて、地元民はパパイヤミルクに薄いトーストを合わせます。甘いドリンクにトースト——日本の感覚だとちぐはぐに聞こえるかもしれないけど、食べてみると妙にしっくりくる組み合わせです。ドリンクとトーストのセットで台湾ドル60~80元(約260~350円)。月曜定休。

アクセスと実用情報

鹿港への行き方

外国人旅行者に一番おすすめなのは「台湾好行・鹿港祈福線(6936番)」。高鐵台中駅(烏日)から乗れて、彰化バスターミナル経由で鹿港まで約65分。車内に英語・日本語の案内があり、停留所ごとにアナウンスが流れるので迷いません。料金は台湾ドル82元(約350円)、ICカードなら72元。

ローカル路線を使うなら彰化客運が台中駅前から出ています(約1時間、台湾ドル60~80元)。台中駅での乗り場が分かりにくいため、初めての人は台湾好行が無難です。鹿港には電車が通っていないので、バスかレンタルバイクが基本になります。

第一市場エリアへのアクセス

台湾好行のバスを「鹿港老街」停留所で降り、そのまま西へ徒歩10分ほど進むと民族路に着きます。老街(中山路)から歩いても同じくらい。タクシーなら台湾ドル100元前後(約430円)。

店の位置関係(迷わないための目安)

民族路がこのエリアのメイン通りです。粉圓伯は大明路37番地(第一市場内)、蚯蚓龍山麵線糊は民族路193番地(三民市場エリア)、阿婆当帰鴨は民族路109番地、素珠芋丸は民生路68番地です。金龍木瓜牛奶は大明路9番地(午後営業)。迷ったらGoogle Mapsで「鹿港第一市場」と検索して現在地を確認するのが一番早いです。

訪問タイミング

朝7~9時が最も活気のある時間帯です。粉圓伯は売り切れ次第終了なので、遅くとも9時前には着きたいです。週末のほうがにぎわいますが、平日のほうが店が多く開いている印象です。天気が良い日の早朝は光の入り方もきれいで、写真を撮りたい人にも向いています。

支払いとその他注意点

市場内の小さな店では現金のみというところが多いです。台湾ドルを少額(500~1000元)持っておくと安心です。言葉は中国語(台湾語)のみですが、指差しと笑顔でだいたい通じます。「這個(ジェーグー)」(「これ」)と指差せば注文できます。

鹿港、泊まるべきか日帰りか

台中から日帰りできる距離だけど、朝の市場を体験したいなら前日に鹿港入りして一泊するのがベストです。宿泊施設は多くないですが、民宿が数件あります。老街周辺の民宿なら翌朝の市場まで歩いていけます。

参考情報

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