鹿港の地元民は老街に行かない。彼らが毎朝通う「第一市場」へ
観光客が老街を歩く時間、鹿港の地元民はとっくに第一市場で朝食を済ませている。6時半から動き始めるこの市場が、本当の鹿港を映し出している。

鹿港(ルーガン)に行ったとき、どこを歩きましたか?
おそらく龍山寺(ロンシャンスー)を見て、老街のアーケードを歩いて、鳳眼糕(フォンイェンガオ)を買って帰ったんじゃないかと思う。それはそれで正解なんだけど、鹿港の人たちがほとんど行かない場所でもあります。
地元の人に「週末、どこに行くんですか?」と聞くと、だいたい「市場かな」という答えが返ってきます。老街じゃない。第一市場——民族路(ミンズーロー)周辺に広がる、地元民の日常の台所のことです。
第一市場と、鹿港の「本当の朝」
台湾で寺院の密度が一番高いのが鹿港、という話はよく聞きます。でもその話と同じくらい面白いのが、この町の朝の動き方です。
観光客が老街にたどり着く頃(10時、11時)、鹿港の人たちはすでに市場でのひと仕事を終えています。朝6時から人が動き始め、7時過ぎには人気店の前に列ができます。日本の商店街がシャッターを開ける時間に、こっちではもう朝食の一軒目が終わっている——そんな感覚の町です。
第一市場は民族路を中心に、いくつかの路地が複雑に交差するエリア。屋根付きのアーケード、常温で積まれた野菜、薄暗いなかでもしっかり商売している小さな食堂——観光地の写真とは全然ちがう、生活の匂いがある場所です。
朝6時半から並ぶ——粉圓伯(フェンユエンポー)
第一市場に来るなら、まずここから始めるといいです。
粉圓伯は毎朝6時半に開店します。売っているのは自家製のタピオカ(粉圓)だけ。黒糖シロップと一緒に食べるシンプルなものなんだけど、週替わりの常連客でにぎわっています。
観光客の姿はほぼ見かけません。並んでいるのは近所のおじさんおばさん、市場で働く人たち。お昼前には売り切れます。鹿港の人がなぜここにこだわるか——一口食べるとわかります。市販のタピオカとは違い、ツルツルとした食感にぷりっとした弾力があり、かみしめるたびにほんのりとした甘みが広がります。
混んでいる時間帯でも回転は速いです。価格は台湾ドル35~45元ほど(日本円換算で150~190円)。現金のみです。9時を過ぎると売り切れていることも多いので、早めに行くのが鉄則です。
パパイヤミルクとトースト——鹿港人の「2時間目の休憩」
金龍木瓜牛奶(ジンロン ムーグア ニューナイ)は、市場内でフレッシュパパイヤミルクをその場で作っている店です。注文を受けてから生のパパイヤをミキサーにかけるので、待ち時間は3~4分ほど。
台北や台中のパパイヤミルク専門店と基本は同じなんだけど、鹿港での食べ方がちょっとちがいます。地元民はパパイヤミルクに薄いトーストを合わせます。甘いドリンクにトースト——日本の感覚だとちぐはぐに聞こえるかもしれないけど、食べてみると妙にしっくりきます。軽い朝食というより「2時間目の休憩」みたいな感じ。ドリンクとトーストのセットで台湾ドル60~80元(260~350円)前後です。
市場の奥へ——三民市場の麵線糊(ミエンシエンフー)
第一市場のエリア内、三民市場(サンミンシジョウ)の奥に入ると、観光客が迷い込むことはほとんどない食堂街があります。
麵線糊は台湾中南部でよく食べられる朝食で、細い素麺をとろみのあるスープで煮たもの。日本の「あんかけそうめん」に近いイメージだけど、香りがまったくちがいます。香草(パクチー)は後乗せなので苦手な人は先に言えばいいです(「不要香菜」bú yào xiāngcài で通じます)。具材は豚の内臓や牡蠣が入ることが多いです。
屋台飯が初めての人には少しハードルが高いかもしれないけど、市場内なのでひとまず入ってみると店の人が何とかしてくれます。価格は台湾ドル40~60元(175~260円)。台湾中部の市場食堂の雰囲気、ここで体験できます。
観光客が歩かない民族路で
第一市場のエリアを歩くと、老街とはまったく違う光景があります。
阿寶当帰鴨(アバウ タングイヤー)は民族路にある漢方スープの老舗。鹿港の人が子供の頃から食べてきた店で、地元民のSNSには「幼稚園の帰り道に寄ってた」というコメントが並びます。当帰(ダングイ)の香りが効いた鴨スープで、薬膳といっても構えて食べるものじゃありません。鹿港では普通の昼食として扱われている一品です。
もう一軒、素珠芋丸(スーズー ユーワン)も見ておきたいです。民生路の60年老舗で、里芋を薄くスライスして豚肉を包んだ伝統料理。材料の組み合わせだけ聞くと地味だけど、ひとつひとつ手作りで、その食感は独特です。里芋の外皮がもちっとしていて、中の豚肉との対比がある。鹿港の食文化をひと口で体験するならこれです。
アクセスと実用情報
鹿港への行き方
台中からバスで約1時間(彰化客運)。台中駅前から乗れます。彰化駅からなら約30~40分。鹿港には電車が通っていないので、バスかレンタルバイクが基本になります。バス料金は台湾ドル60~80元(260~350円)ほど。
第一市場エリアへのアクセス
鹿港のバスターミナル(天后宮前バス停が最寄り)から徒歩10~15分。老街(中山路)から歩いても同じくらいです。タクシーなら台湾ドル100元前後(約430円)。
訪問タイミング
朝7~9時が最も活気のある時間帯です。粉圓伯は売り切れ次第終了なので、遅くとも9時前には着きたいです。週末のほうがにぎわいますが、平日のほうが店が多く開いている印象です。天気が良い日の早朝は光の入り方もきれいで、写真を撮りたい人にも向いています。
支払いとその他注意点
市場内の小さな店では現金のみというところが多いです。台湾ドルを少額(500~1000元)持っておくと安心です。言葉はほとんど中国語(台湾語)のみですが、指差しと笑顔でだいたい通じます。「這個(ジェーグー)」(「これ」)と指差せば注文できます。
鹿港、泊まるべきか日帰りか
台中から日帰りできる距離だけど、朝の市場を体験したいなら前日に鹿港入りして一泊するのがベストです。宿泊施設は多くないですが、民宿が数件あります。老街周辺の民宿なら翌朝の市場まで歩いていけます。
参考情報
- PTT ChangHua板(台湾最大の掲示板)— 鹿港地元民による日常生活・グルメの情報交換スレッド
- Dcard — 台湾SNS、鹿港グルメの食レポート(繁体字中国語)
- YouTube vlog(2025年9月公開)— 第一市場の早朝の様子を映像で確認できる
- 彰化客運バス時刻表 — 台中・彰化から鹿港へのバス情報(繁体字中国語サイト)